令和6年度 | 事業報告 |
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令和7年度 | 事業計画 |
【2025年度正味財産増減予算書】 |
I.令和6(2024)年度 事業報告
(令和6年4月1日~令和7年3月31日)
【I】歌舞伎の技芸の研修と伝承者養成
(1) 新人研修(国立劇場の養成事業)
日本芸術文化振興会(国立劇場)との協同事業として講師派遣などを行った。
2024年度に実施された歌舞伎関係の養成研修
・第28期 歌舞伎俳優研修 2025年3月に4名研修修了
・第29期 歌舞伎俳優研修 2年目(2年間) 2名研修中
保存会は、国立劇場養成課と連携して、役員によるレクチャーを含め、カリキュラムの内容の充実を進めた。
また、令和7年度から開講する第30期歌舞伎俳優研修、第27期歌舞伎音楽(竹本)研修、第19期歌舞伎音楽(鳴物)研修の応募者の選考試験に協力した。
(2) 伝承者養成事業(既成俳優の研修事業)
第29回研修発表会のため、「菅原伝授手習鑑-加茂堤の場」の稽古を、歌舞伎座終演後に行った。
(3) 稽古費用等補助
名題および名題下俳優を対象に、各自が自主的に参加する日本舞踊と歌舞伎音楽(長唄、鳴物、竹本、常磐津、清元ほか)の稽古費用の一部を研修手当として補助した。
申請は35名、支給総額は2,018,200円であった。
(4) 研修発表会の開催
担当理事:中村萬壽・中村又五郎(5) 研修発表公演、勉強会への協賛
日本芸術文化振興会(国立劇場)が主催する研修発表公演「第30回 稚魚の会・歌舞伎会合同公演」(8/15~18)と「第26回 音の会」(8/8)、「第34回 上方歌舞伎会」(8/24~25)に協賛した。
(6)
文化庁へ長官表彰の候補者を推薦し、松本高麗五郎氏が文化庁長官表彰を受けた。
【II】資料収集整理(記録作成と保存)
令和4年に休刊した歌舞伎専門月刊誌「演劇界」に代わり、その巻末に掲載されていた貴重な資料である各劇場の歌舞伎上演記録を継承すべく毎月収集整理し、舞台写真とともに一年間の成果として出版し、俳優・演奏家・関係者・研究者に資料として供するため、2024(令和6)年1月~12月までに国内の主要劇場(歌舞伎座・新橋演舞場・国立劇場・御園座・京都南座・大阪松竹座・博多座・地方公演・巡業等)で上演された歌舞伎の本公演・勉強会・地方公演などで日本俳優協会所属の歌舞伎俳優が出演した公演について、筋書・チラシを基に月毎に公演名・演目・配役等のデータと主な舞台の公演記録写真を掲載した『歌舞伎年鑑 上演資料集2024』を刊行した。非売品。200部を関係方面に無料で配布した。
【III】普及事業
(1)小学生のための歌舞伎体験教室
対象は、公募による首都圏の小学生4、5、6年生の希望者。国立劇場休館のため、会場を国立オリンピック記念青少年総合センターに移しての開催となった。ただし7月15日(土)ガイダンスのみ国立劇場研修室で行い、8月19日からは国立劇場オリンピック記念青少年総合センタ-(参宮橋)にて開講式を開催し、続いて鬘と衣裳のワークショップを実施。20日には歌舞伎音楽(竹本)の体験、21日は歌舞伎音楽(長唄・囃子)の体験、22日は立廻りの体験と『寿曾我対面』の演技とせりふを稽古し、23日に小ホールで舞台稽古、そして24日に発表会を開催した。
(2) 『かぶき手帖2025年版』
2025年版を2025年1月2日に公益社団法人日本俳優協会、松竹株式会社との共同事業として発行した。
II.事業報告の附属明細書
特に記載する事項は無い。
令和7(2025)年度事業計画書
(2025年4月1日~2026年3月31日)
【基本方針】
本保存会の定款に定められた事業は、以下の通り。
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
- 伝承者の養成に関する事業。
- 伝統的な歌舞伎の技芸の研修及び研究会、発表会等の開催に関する事業。
- 伝統的な歌舞伎に関する調査研究と記録作成及びその成果の公表に関する事業。
- 伝統的な歌舞伎に関する資料の収集整理に関する事業。
- 伝統的な歌舞伎を普及させるための事業。
- その他この法人の目的を達成するために必要な事業。
上記の定款に則して、以下の通り事業を行う。
(1) 伝承者の養成に関する事業
日本芸術文化振興会(国立劇場)との共同事業として、
・第29期歌舞伎俳優研修(2年目)令和8年3月修了予定
・第30期歌舞伎俳優研修(1年目)令和7年4月~令和9年3月終了予定
・第26歌舞伎音楽(竹本)研修(1年目)令和7年4月~令和9年3月修了予定
・第19期歌舞伎音楽(鳴物)研修(1年目)令和7年4月~令和10年3月修了予定
以上の研修に講師派遣を行う。
(2) 伝統的な歌舞伎の技芸の研修及び研究会、発表会等の開催に関する事業
伝承者養成事業(既成俳優の研修事業)については、従来通り、次の4種類とする。
- 長唄(唄・三味線)、鳴物(囃子)、竹本(義太夫語り)
- 日本舞踊
- 歌舞伎の演技、せりふ術、芸話、講義
- 立廻り
また、名題および名題下俳優が自主的に行う日本舞踊や歌舞伎音楽の稽古に対して、補助金を出すことで伝承者の技芸の充実をはかる。
昨年から三宅坂の国立劇場が閉館しているため、小規模ながら「上浚い」を行い、技芸の研鑽を図る。
(3) 伝統的な歌舞伎に関する調査研究と記録作成及びその成果の公表に関する事業
休刊した歌舞伎専門月刊誌「演劇界」に代わり、その巻末に掲載されていた貴重な資料である各劇場の上演記録を毎月収集整理し、一年間分を舞台写真とともに報告書として出版し、俳優、演奏家、関係者、研究者に資料として供する。
(4) 伝統的な歌舞伎に関する資料の収集整理に関する事業
歌舞伎に関する出版物を収集し、会員・関係者への閲覧に供する。
(5) 伝統的な歌舞伎を普及させるための事業
毎年の夏休みに実施してきた「小学生のための歌舞伎体験教室」を実施する。
対象は、公募による首都圏の小学生(4,5,6年生)希望者とし、プログラムは参加児童が歌舞伎の楽しさと伝統芸術としての魅力を体験できるよう、従来の内容を継承しながら、一部見直して作成する。具体内容は、青少年芸術劇場オリンピックセンターの研修室などを借りての結髪の見学や義太夫の体験、立廻りにふれる等のプログラムと並行して、『寿曾我対面』の本読みから実技までの体験を行い、最後日に青少年芸術劇場オリンピックセンター小ホールで発表会を行う。
(独)日本芸術文化振興会(国立劇場)の協賛、松竹株式会社と(公社)日本俳優協会の協力を要請する。
(5) 「かぶき手帖」2025年版の刊行
『かぶき手帖』2026年版を、日本俳優協会、松竹(株)との共同出版事業として、2026年1月2日発行をめざして準備を進める。