上方歌舞伎を代表する女方として長年活躍してきた、伝統歌舞伎保存会会員・日本俳優協会会員の歌舞伎俳優・片岡秀太郎(かたおか・ひでたろう、本名:片岡彦人=かたおか・よしひと)さんが、令和3年5月23日(日)午後12時55分に慢性閉塞性肺疾患のため大阪府吹田市の自宅にてご逝去されました。享年79歳。ご葬儀・告別式は家族葬で執り行われました。
【略歴】
昭和16年9月13日生まれ。十三代目片岡仁左衛門の次男。21年10月南座『吉田屋』の禿で片岡彦人の名で初舞台。31年3月大阪・歌舞伎座『河内山』の浪路で二代目片岡秀太郎を襲名。
関西に居を構え上方らしいはんなりとした芝居を継承する女方として長年舞台に立ち、上方歌舞伎の振興に力を注ぐ。『恋飛脚大和往来』の梅川、おえんといった上方の情趣が不可欠な役に秀いで、近年では『菅原伝授手習鑑』「道明寺」の菅丞相伯母覚寿、『盛綱陣屋』の微妙など時代物の老女の大役で風格を示している。平成9年に開塾した「松竹・上方歌舞伎塾」や、平成26年に開校したこども歌舞伎スクール「寺子屋」では講師をつとめ、後進の育成にも力を注いでいる。最後の舞台は令和2年12月南座『一谷嫩軍記―熊谷陣屋』の経盛室藤の方。
平成11年第20回松尾芸能賞優秀賞。同年度大阪芸術賞。14年度第21回京都府文化賞功労賞。15年第23回伝統文化ポーラ賞優秀賞。26年第49回大阪市市民表彰(文化功労)、ほか。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)。3年旭日小綬章。
謹んでご冥福をお祈りいたします。