STEP 1 歌舞伎ワークショップ(5月16日)
STEP 2 親と子の歌舞伎鑑賞教室(7月11日)
STEP 3 歌舞伎体験教室ガイダンス(7月18日)
鬘あわせ(7月20日~23日)
STEP 4 歌舞伎体験教室(8月5日~12日)
STEP1 歌舞伎ワークショップ 5月16日(日)

会 場 江戸東京博物館ホール
監 修 中村吉右衛門
企画・演出 中村歌昇、中村時蔵、市川団蔵
出演者 中村歌昇、
中村梅枝、中村吉之助、中村吉三郎、中村吉五郎、中村時蝶、中村蝶十郎、
長唄:鳥羽屋里長社中
鳴物:田中傳左衛門社中
振 付 藤間勘祖
狂言作者 竹柴吉松
つけ打ち 丹崎健一

 「平成16年度 小学生のための歌舞伎体験教室」のSTEP1「歌舞伎ワークショップ」が、江戸東京博物館ホールで開催されました。会場には、小学生とその保護者を合わせ400名を越す参加者が集まり、普段は手にすることの出来ない小道具に触れたり、歌舞伎の音楽や踊りを解説をまじえて鑑賞していただきました。ここでは当日の様子をご紹介しましょう。

 開催に先立ち、指導監修の中村吉右衛門理事から挨拶がありました。「みんなが海外に行ったとき、日本の文化にはどんなものがあるのと聞かれたら・・・日本はついこの間まではみんなこういう着物を着ていたんですよ。今、僕達は日本の文化に興味が薄れてきてしまいました。もうちょっと日本文化に興味をもっていただきたい、興味を持っていただくきっかけをつくるにはどうしたらいいだろうなと思ったら、歌舞伎芝居のいろんなものをお見せして、遊んでもらうのが一番ではないかと考えました。だから今日はお勉強というよりも、みんなでいっしょに遊んで楽しんで良い思い出をつくって帰っていただければ幸せです。歌舞伎座や国立劇場で活躍している俳優達が真剣にやりますから、大人の方たちも楽しめるものだと思います。さあ一番最初は何が出てくるでしょうか!」

ワークショップの様子を写真でご紹介しましょう
進行役の中村歌昇さん。 「馬に乗りたい人!」一斉に手が上がります。
馬は意外と背が高く最初はちょっと緊張気味ですが・・・ 暫くすると、すぐに慣れて、しっかりと乗りこなしていますね。
差し金の扱いを体験してもらいました。 雷の音を出す“雷車(らいしゃ)”という道具をゴロゴロと勢い良く鳴らしてもらいました。
黒御簾の実演では、雨音、雪音などが演奏されました。 長唄囃子連中による「勧進帳」の演奏。
中村吉之助さんによる「雨の五郎」の実演。
中村梅枝さんによる「鷺娘」の実演。
“えぃ”という掛け声でトンボを切って・・・ かっこよく決まりましたね!
ワークショップが終わってから小道具や楽器に触れてもらいました。猪をかぶったり、太鼓をたたいたり、馬に乗ったり、差し金を扱ったりと、普段はなかなか出来ない体験をして皆大満足でした。
STEP2 親と子の歌舞伎鑑賞教室 7月11日(日)

会 場 国立劇場大劇場

 歌舞伎鑑賞教室として、市川男女蔵さんによる「歌舞伎のみかた」の解説と、「傾城反魂香」の舞台を観劇していただきました。
 参加者は総勢約400名。歌舞伎鑑賞の後は、参加児童の皆さんに舞台に上がっていただき、バックステージツアーに参加していただきました。

バックステージツアーの様子を写真でご紹介しましょう
花道を通ってステージに上がります。 実際の舞台で奥行きの広さを体感します。
「傾城反魂香」に出演の、片岡孝太郎さんと、片岡愛之助さんが、舞台にかけつけてくださいました。
国立劇場の舞台について、概要・照明・音響それぞれの担当の方に説明して頂きました。 朝の陽射しから夜の月まで、1日の光の様子を照明で再現。
雨音とカエルの鳴き声を道具を使って実演。 廻り舞台を動かしてもらいました。
STEP3 歌舞伎体験教室ガイダンス 7月18日(日)

会 場 国立劇場 伝統芸能情報館

 体験教室カリキュラムの説明、体験する演目の解説、配役発表。浴衣の着付、立居振舞のお稽古をおこないました。
 今年度の参加児童は60名。「寿曾我対面」の解説では、自分の配役の説明になると、思わず真剣な様子になります。
 浴衣の着付と立居振舞のお稽古では、浴衣を着て立ったり座ったりがちょっと難しかったり、お扇子の扱いに神妙な表情を浮べたりと、これからはじまる教室に向けて、皆一生懸命でした。

ガイダンスの様子を写真でご紹介しましょう
嵐橘三郎さんから体験する演目「寿曾我対面」の解説を行っていただきました 教室で着用する浴衣の着方を学びます。
扇子の扱いについて中村紫若さんから指導をうけます。 お稽古の最初と最後には、かならず挨拶をします。
(かつら)あわせ 7月20日(火)~23日(金)

場  所 東京演劇かつら株式会社

 STEP4の『寿曾我対面』の発表会に向けて、7月20日から配役ごとに〈鬘あわせ〉がはじまりました。歌舞伎の鬘は、一人一人の頭の形にあわせて銅の台金(だいがね)で土台をつくり、毛髪を植え込んだ羽二重をそれに貼ってつくります。髪型を結い上げるのは床山(とこやま)さんの仕事です。鬘師の方々がピッタリと頭に合うように仕上げてゆく手仕事に見とれながら、歌舞伎がたくさんのスタッフの力で作られていく様子を学びます。
 準備も着々と整い、あとは開講式を待つばかりです。
STEP4 歌舞伎体験教室 8月5日(木)~12日(木)
昨年よりも一日増え、8日間にわたって行われた歌舞伎体験教室。子供たちはお稽古を重ねて、舞台に真剣に取り組み、最終日の発表会ではすばらしい「寿曾我対面」の舞台をつとめあげました。今年は新しい試みとして、男の子が女方(舞鶴)を演じたり、昨年の体験教室経験者が数名2年続きで参加し、いろいろな場面で初参加の子供たちをリードしてくれたりと、さらに充実した体験教室になりました。各日ごとに写真をたくさん掲載した詳細ページがあります。ぜひそちらもご覧ください。
5日(木) 開講式、衣裳とかつらの体験、歌舞伎の演技の体験
開講式では中村雀右衛門会長と、吉右衛門担当理事から「この歌舞伎教室を楽しんで、歌舞伎に接する良い機会にしてください」と挨拶があり、さっそく、女方のかつらの結髪を見学、衣裳の体験、小道具の説明を受けました。かつらや衣裳の重さや、小道具の美しさにみんな驚いた様子。その後、初めてのお稽古、「本読み(セリフのお稽古)」をそれぞれの配役に分かれて行いました。
 
6日(金) 歌舞伎音楽を体験する(その1)、歌舞伎の演技の体験

竹本(義太夫)の語りと太棹三味線を聴きました。竹本泉太夫さんの大きな声に負けないようにみんな大きな声を出して義太夫のお稽古をし、その後、義太夫に合わせて男の子は「盛綱陣屋」の注進、女の子は「野崎村」のお染の動きを体験。みんなとても上手に振舞っていました。
 
7日(土) 立廻りの実演を見て体験してみる、歌舞伎の演技の体験

立廻りの実演を見学しました。市川新七さんを中心とした迫力のある立廻りにみんな釘付け。その後、三人一組になって立廻りの体験。先生が教えてくれる型を真似て、みんなかっこよく決まりました。
 
8日(日) 歌舞伎の演技の体験、歌舞伎の化粧と扮装を見る
『暫』の化粧と扮装の実演を團蔵さんに披露していただきました。隈取の化粧の様子、衣裳を何枚も重ねて着る様子などを間近に見て、迫力にびっくり。立派なかつらや大きな刀などの小道具も見てもらいました。この日は昨年の歌舞伎体験教室に参加したOB・OGが見学に来てくれて、先生たちとの一年ぶりの再会を楽しみました。
 
9日(月) 歌舞伎音楽を体験する(その2)、歌舞伎の演技の体験
6年生は長唄三味線、5年生は太鼓と小鼓、4年生は楽太鼓と擬音効果を体験しました。太鼓の大きな音にびっくりしたり、擬音効果の道具に触れて雨音や波の音を出して楽しみました。
 
10日(月) 歌舞伎の演技の体験

この日は”総ざらい”。ツケ打ちや下座音楽も入れての通し稽古です。明日が舞台稽古ということもあり、小道具の扱いかた、型の修正など入念に確認しました。
 
11日(水) 舞台の仕込み(設営)見学、歌舞伎の扮装の実習、舞台稽古

舞台の仕込み(設営)を見学し、大道具・照明について、国立劇場舞台技術部のスタッフにお話をうかがいました。舞台稽古では、初めて化粧をして、衣裳・かつらをつけます。先生たちに手伝ってもらいながら小さな役者さんのできあがり。舞台でしかできない、立位置の確認など明日の本舞台を控えて入念な稽古を行いました。
 
12日(日) 発表会
歌舞伎体験教室の成果を披露する発表会。みなとてもすばらしい役者ぶりで、客席から大きな拍手がおくられました。舞台の合間には、時蔵さん、團蔵さん、歌昇さん、芝雀さんによる発表会の報告があり、スライドを使って教室の様子も紹介されました。終演後は雀右衛門会長、吉右衛門担当理事からお話をいただき、皆に修了証書が授与されました。